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名古屋地方裁判所 昭和49年(わ)503号 判決 1974年5月27日

本籍

岡崎市元能見町一三〇番地

住居

同市能見町二四六番地

衣料品小売業

深見鉋一

昭和六年一月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官重富保男出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月および罰金三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、岡崎市能見町二四六番地に居住し、同所などに三店舗を置き、衣料品小売業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、売上げの一部を除外するなどして得た収入を、架空名義で預金にするなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四六年分の総所得金額は一二、二七七、一一九円で、これに対する所得税額が四、一五〇、三〇〇円であるのに、右所得税の申告期限である昭和四七年三月一五日までに、岡崎市明大寺本町一丁目四六番地所在所轄岡崎税務署長に対し、確定申告書を提出せず、もつて右不正の行為により所得税四、一五〇、三〇〇円をほ脱し

第二、昭和四七年分の総所得金額は二一、三九〇、八三三円で、これに対する所得税額が九、〇七二、四〇〇円であるのに、昭和四八年三月一五日前記所轄岡崎税務署において、同署長に対し、総所得金額が三、二九五、五五七円で、これに対する所得税額が四二九、七〇〇円である旨の過少の所得税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により正規所得税額と申告所得税額との差額八、六四二、七〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、第一回公判調書中検察官請求証拠目録(一)の請求番号1.6.7.8.11.ないし16.18.ないし29.31.33.35.38.41.43.44.46.47.48.50.ないし55.57.ないし61.63.ないし67.69.71.ないし99.の各証拠

一、同調書中検察官請求証拠目録(二)の請求番号20.21.29.33.35.40.ないし43の各証拠

一、同調書中検察官請求証拠目録(三)の請求番号3ないし17の各証拠

判示第一事実につき

一、第一回公判調書中検察官請求証拠目録(一)の請求番号2.4.9.10.34.56.62.70.の各証拠

一、同調書中検察官証拠目録(二)の請求番号13.15.16.17.25.26.27.31.38.39.の各証拠

判示第二事実につき

一、第一回公判調書中検察官請求証拠目録(一)の請求番号3.5.17.30.32.36.37.39.40.42.45.49.68.の各証拠

一、同調書中検察官請求証拠目録(二)の請求番号11.12.14.18.19.22.23.24.28.30.32.34.36.37.の各証拠

(法令の適用)

判示各所為は、所得税法二三八条一項に各該当するので、所定刑中いずれも懲役刑および罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において、罰金刑につき同法四八条二項により各罰金の合算額の範囲内において、被告人を懲役四月および罰金三〇〇万円に処し、換刑処分につき同法一八条を、懲役刑の執行猶予につき同法二五条一項を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 高津建蔵)

右は謄本である。

同日於同庁 裁判所書記官 玉置秀春

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